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フランチェスコ・アレッツォ
2025-2026年度 国際ロータリー会長
感謝の気持ちを寄付で伝えよう
ロータリー財団月間を祝う11月は、寄付を行うだけでなく、寄付をする理由についても考えていただきたいと思います。
財団は、単にプロジェクトに資金を提供しているだけではありません。財団は、信頼と友情に根差した奉仕が持続可能な変化をもたらすという私たちの約束を果たすための原動力です。
ロータリーの行動計画は「より大きなインパクトをもたらす」ことを求めており、財団はこのビジョンを実現させる手段なのです。
1988年以来、ロータリーとパートナー団体は、約30億人の子どもにポリオの予防接種を行ってきました。
私たちはこの活動のために26億ドル以上を投入し、昨年だけでも1億4,600万ドルを根絶への最後の一押しのために投入しました。これらの数字は重要ですが、真のインパクトは統計だけに表れるものではありません。
真のインパクトとは、子どもたちが決してポリオにおびえなくなることであり、家族が希望を取り戻し、かつて疾病にさいなまれていた地域社会に平和が築かれることです。
しかし、ポリオ根絶は数あるストーリーの一つに過ぎません。毎年、ロータリー平和センターは、対立を対話へ、分断を理解へと変える新世代のリーダーを育成しています。
2023-24年度には、新たに約100人の平和フェローが研究を開始し、140カ国以上からの1,800人を超える平和構築者たちのレガシーを受け継いでいます。
彼らに投資することは、今後何十年にもわたって実を結ぶ平和の種をまくことです。
財団はまた、地区補助金やグローバル補助金を通じて、大小さまざまなプロジェクトを支援し、人々の生活に変化をもたらしています。
農村地域に安全な水を提供する井戸、若い専門家を育てるための奨学金、災害後の医療など、これらは一時的な対応ではなく、尊厳、レジリエンス、機会への一歩です。
こうして、ロータリーの奉仕は持続可能なインパクトを持つようになります。また、自然災害に見舞われた際にも、ロータリーは災害救援補助金で迅速に対応することができます。
ロータリー財団にとって大切なのは、私たちが単独で何を達成できるかではなく、協力して何を達成できるかです。大小にかかわらず、全ての寄付が他の寄付と合わさって、人類と未来のための大きな力となっていきます。
どんな偉大な旅でも、一番大変なのは最後の1マイルです。
私たちは、ポリオ根絶に向けた最後の一歩、平和のための活動、そして人々を絶望から救い出そうとするあらゆるプロジェクトにおいて、このことを実感しています。
しかし、私たちが行う全ての寄付は、どんな困難があろうとロータリーの活動は継続していくという宣言なのです。
今月は、感謝の気持ち、喜び、希望を寄付という形で表しましょう。財団を通じて、私たちは「よいことのために手を取りあい」、その過程でプロジェクトだけでなく、
平和、信頼、「超我の奉仕」というレガシーを残していくのです
(RI指定記事 提供 : ロータリーの友 )
2025/11/01
フランチェスコ・アレッツォ
2025-2026年度 国際ロータリー会長
地域社会が主導する開発とは
10月はロータリーの「地域社会の経済発展月間」です。
持続可能で活気ある地域社会を築けるよう支援する取り組みに光を当てる機会であり、ロータリーの中核的価値観の一つである「リーダーシップ」とも完全に一致しています。
リーダーシップとは、人々に自らの進歩を導けるような力を与えることです。まさにそれが、ロータリーの経済発展プロジェクトの目標です。
例えば、南インドで行われた最近の取り組みでは、ロータリー会員がインドの先住民族・アディバシの女性にミシン縫製の訓練を提供し、自立と社会復帰への道を開きました。
この地域では、歴史的に、夫を亡くした女性や、家族に見捨てられた女性が社会的地位を失い、差別されたり、不幸の責任を負わされたりしてきており、自立や訓練の機会はごく限られていました。
しかしこの活動により、彼女たちは生計を立て、再び社会に参加できるようになったのです。
今年、カナダのウィンザー・ローズランド・ロータリークラブ(RC)は、インドの第3203地区と第3234地区のクラブ、さらに現地団体「Sevalaya Trust」と協力し、
80人のアディバシの女性にミシンと縫製訓練を提供しました。
女性たちは、サリー用のブラウスやクルタ(膝丈までの長袖の上衣)、サルワール(ゆったりしたズボン)などの民族衣装を縫う技術を学び、自分や家族を養う手段を得ました。
社会から孤立していた女性たちに、貴重な収入と尊厳を取り戻す機会を与えたのです。なおこのプロジェクトは、ミシンの長期的な無料メンテナンスを約束しています。
このストーリーは、ロータリーのリーダーシップを体現する一例です。地域の人々が、自らの課題に応じた解決策を導いているのです。
私たちの役割は、単なる慈善や外部モデルの押し付けではなく、リーダーシップや技能を伝え、持続可能な事業に投資することで自立を促すことです。
この10月、私はロータリー会員の皆さんに、地域社会における経済的リーダーシップについて考えてみていただきたいと思います。地元で経済活動を主導しているのは誰でしょうか?
研修やメンターシップによって伸ばせる、眠れる才能はどこにあるでしょうか?クラブが地元企業、専門学校、信用組合などと連携して、新たな機会の橋渡しになれるとしたら?
リーダーシップとは、必ずしも前面に立つことではありません。人の声に耳を傾け、協力し、他者の声を広めることもリーダーシップです。
そうした姿勢こそ、ロータリーの理念の核心であり、経済発展における私たちの持続的なインパクトの基盤なのです。
小口融資グループ、職業訓練、起業支援プログラムなどを通じて人々の能力を育てることで、地域が自ら変革を導く力を得ることができます。自らの進歩を自らの手でつかむとき、変化は持続可能になります。
善意を持って導き、真心を込めて支援しましょう。地域のリーダーシップを育むことで、私たちは、個人や家族、社会全体に波及する機会を生み出すことができます。
誰もが恩恵を受けられる経済を支え、持続可能な地域発展プロジェクトを共に実現していきましょう。
(RI指定記事 提供 : ロータリーの友 )
2025/10/01
フランチェスコ・アレッツォ
2025-2026年度 国際ロータリー会長
教育を通じた平和
私のRI会長への就任は、突然かつ予期せぬ形で訪れました。この出来事を通じて、世界は一瞬で変わるものだということ、そんな変化の中でも、ロータリーは常によいことをするために安定した力を持っていることを再認識しました。
今月は「基本的教育と識字率向上月間」です。私たちに課せられた使命は明確です。私たちが奉仕する地域で、人類の学びの土台を支えることです。
世界には、文字を読めない人が何百万人もいます。基本的教育を受けられない子どももいます。しかし、私たちはその解決法を知っています。
持続可能で、インクルーシブで、公平な教育です。特に女児と社会から取り残された若者のための教育は重要です。
識字とは、単に読み書きができる能力ではありません。人間の尊厳、経済的な自立、平和への鍵となるものです。本を開くこと、教室を設けること、教師を養成すること、その全てが平和の礎となるのです。
今年のロータリーのメッセージは、「よいことのために手を取りあおう」です。「手を取りあう」とは、私たちが互いの中に見いだす強さを表しています。クラブ同士だけでなく、パートナー、組織、地域社会と手を取りあったとき、私たちは参加者の基盤を拡大することができます。
これらを継続的に行うことで、永続的な変化をもたらすことができます。ロータリーの奉仕は年次目標だけで測ることはできません。教育分野での私たちの活動は、1 年で終わるものではないのです。識字率向上プロジェクトは、根付き、成長し、実りをもたらすには時間がかかります。
今こそ大胆かつクリエーティブに考える時です。新しい形のクラブは、教育者、学生、支援者を巻き込む新たな方法になります。
今月は、教育への情熱を持つ新しい会員を教育を通じた平和迎え入れ、既存会員には地域のニーズを反映した奉仕プロジェクトを実施できるよう支援しましょう。図書館の建設、教科書の配布、学生の指導など、どんな行動でも意味ある一歩です。
教育はまた、平和の構築でもあります。私たちが提供する奨学金、支援する幼児教育プログラム、成人向けの識字教室への資金提供は、平和のための活動です。
ロータリーは 100 年以上にわたり、このような方法で平和を築いてきました。
識字という課題において、単に「教育の機会を提供する」だけでなく、「教育の公平性」を追求する必要があります。
どのような背景にある人でも、学びのチャンスが等しく与えられるべきです。そして、国境、言語、世代を超えて、教育は特権ではなく権利であるということを私たちは一つになって主張することも必要です。
持続的な識字率向上の実現に向けて行動し、よいことのために手を取りあいましょう。
全ての子どもが文字を読むことができる世界を夢見て、私たち世界を変える行動人が、この夢を実現するために協力しましょう。
教育の力を活用して、人々の人生を豊かにすることができるのです。共に、よいことのために手を取りあいましょう。
(RI指定記事 提供 : ロータリーの友 )
2025/09/01
フランチェスコ・アレッツォ
2025-2026年度 国際ロータリー会長
今月、そして毎月
8月は「会員増強・新クラブ結成推進月間」ですが、ロータリーの成長とつながりへの取り組みは、一年を通じて続くものです。
私たちがロータリーの成長に注力することで、奉仕する力、リーダーとしての力、そして持続的な変化をもたらす力が高まります。
会員増強とは、単に会員数を増やすことではありません。新しい扉を開くことです。自分自身の大きな目的のために、
時間や才能、心をささげたいと願う人々を迎え入れることです。新会員は新たな発想やエネルギーをもたらし、
ロータリーの影響力を広げ、クラブを強化し、社会と共に進化させてくれます。
現在、ロータリーでは従来の形にとらわれないクラブ形態を設計することが可能です。
多様なつながり方や奉仕の形を提供する革新的なクラブの成功例を見るたび、私は大きな励ましを受けます。
例えば韓国では、衛星クラブの拡大により、約1,000人の新会員がロータリーに参加する機会を得ました。
ルーマニアではロータリアン、ローターアクター、インターアクターの連携が、次世代のリーダーを育てる土台となっています。
インドでは、専門性の向上や奉仕への情熱といった共通の関心を軸に会員が集まり、ロータリーに参加する喜びと意欲を高めています。
また、東南アジア、アフリカ、ヨーロッパでは、特定の課題に取り組む分野特化型クラブが活躍しています。
共通していえるのは、ロータリークラブが成長しているところでは、会員増強が優先事項とされ、新しい挑戦への意欲があるということです。
ロータリーは一つの構造や伝統に縛られた組織ではありません。私たちは行動する人々の世界的ネットワークです。
つまり多様なクラブ、多様な奉仕、多様な参加の形が認められているということです。
この革新の精神は、ロータリーの新たな地域への拡大にもつながっています。
これまでロータリークラブがなかった地域や、かつて存在していたが消失してしまった地域でも、ロータリアンたちは成長の機会を見いだし、
地域の特性やニーズに合った新たなクラブを築いています。こうした取り組みは、全ての会員が役割を担っています。
友人をクラブに誘ったり、新たな例会形式を支援したり、プログラムの学友と再びつながったり、
自身のロータリー体験を語ることも、組織をより強く、より活気あるものにします。
ロータリークラブに「所有者」はいません。クラブは、次の世代に託す「贈り物」なのです。
この贈り物を育み、他の人を招き入れるとき、ロータリーは「よいこと」をする力として、未来へ続いていけるのです。
8月だけでなく、毎月を「会員増強の月」として意識し続けましょう。
友情と創意工夫、そして共通の目的を通して、ロータリーを共に成長させ、「よいこと」のために団結するのです。
(RI指定記事 提供 : ロータリーの友 )
2025/08/01






